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コンタクトレンズの王道

老眼の自覚症状の改善というのは人によって異なり、「それまで使っていた老眼鏡が要らなくなった」という劇的なものから「ある日、自分の指紋が見えることに気づいて効果を実感した」という微妙なものまでさまざまです。 なお、2ヵ月の時点では「不変」たった人の中で、さらにトレーニングを続けてその後に改善した人が3人いますので、最終的には26人中19人が改善したことになります。
老眼の自覚症状を判定するうえで、注意しなくてはいけない点があります。 それは近視の問題です。
白内障が進む過程で水晶体が厚くなり近視が進むために、ピントが近くに合うようになって老眼が良くなったような錯覚を起こす場合がある、と書きましたが、白内障以外でも何らかの原因で近視が進めば同様の現象が起こります。 つまり、調節トレーニングをすることで近視を起こしたり、進めたりすることがあれば、「老眼がよくなった」ように感じてしまいます。
そのために、トレーニング前後の近視の変化もチェックしておく必要があります。 詳しい数値は省略しますが、トレーニング群でも対照群でも、近視の度数は変化しなかったことを確認しております。
ここまでの結果から、「2ヵ月間の調節トレーニングで40歳代の老眼は改善する」ということが判りました。 では長期的にはどうでしょう。
2年以上、このトレーニングを続けてくれた人はたった6人しかいません。 また2年間「何もせず」に検査に協力していただいた「対照群」も5人だけでした。
サンプルが少なく信頼できると断定しづらいのですが、次のような結果となりました。 調節訓練を開始して近づいた近点距離は、トレーニングの継続で2年後も良好に維持されていました。
一方、対照群では2年後には明らかに遠ざかっていました。 2年後の老眼の自覚症状は、トレーニング群では開始前に比べて6人中6人が改善していました。

一方、対照群では5人中4人が悪化しており、1人が不変でした。 2年間トレーニングを続けても、近視の状態は変化しませんでした。
この結果から、「調節トレーニングを継続することで、老眼の状態は少なくとも2年間は良好に維持される」と考えられました。 ここまでで、調節トレーニングの概要はお分かりいただけたと思いますが、細かい点で、さまざまな疑問をお持ちの方も多いと想像されます。
そこで、今までにもしばしば質問された事柄をピックアップしてみることにします。 老眼鏡を作ってはいけないのか?もちろん構いません。
足腰の弱り切った人がトレーニングを強制されるのは苦痛以外のなにものでもありません。 それと、「めんどうなトレーニングを試すより、早く眼鏡ではっきり読みたい」という場合も、もちろんそうしてください。
私の言いたいことは、「良くなる可能性のある間に、2ヵ月だけトレーニングを試してはいかがですか?」ということです。 「絶対トレーニングをしなくてはいけない」とは言いません。
効果はすぐに出ないのか?すぐには出ません。 今までの経験から最低2ヵ月はかかります。
効果は続くのか?いったん改善しても、トレーニングを中断してしまえば、また少しずつ老眼は進みます。 それは体のトレーニングと同じと考えてください。
早い時期に再開すると再び改善するのも同じです。 年齢的な限界はあるのか?たぶんあります。

しかしまだ確認はしていません。 これも、全身のトレーニングと同様に個人差が大きいと考えます。
今回は留成代しか試しませんでしたが、四成を超えた方でも、やってみる価値はあると思います。 老眼鏡はいつでも作れますから。
副作用はないのか?遠くを見たり近くを見たりするのは、日常ふつうにやっていることです。 それを意識的に少し大げさにやるだけですから、何も問題はないはずです。
今までいちばん多くこのトレーニングをしたのは、1日平均七~八回で6年間も続けていただいた方ですが、2ヵ月ごとの眼のチェックで今のところ何も起きていません。 私はまだ3年くらいですが何もトラブルは起きていません。
続けたい気持ちがあるのにすぐ忘れてしまう。 一回40秒を1日四回、つまり1日2分40秒のトレーニングを続けられない最大の原因は「忘れてしまう」ことです。
今ではもう習慣になっているので問題はありませんが、最初の頃は私もよく忘れて、我ながら情けなかったものでした。 そこで忘れないために、「記録用紙」を考案しました。
図64のようにその日の記入欄にトレーニングをした回数を「正」の字で記入していくというものです。 こんな単純な道具を作っただけで、その後は続けられる人がずいぶん増えました。

遠くの物が見えない場所ではどうしたらいいのか?遠くと近くの目標の間か離れていればいるほど、水晶体と毛様体は大きく動くはずです。 そのために、遠くの目標は「できるだけ遠く」としましたが、窓のない部屋などでやる場合は、lm先でも2m先でも構いません。
とにかく、動かすことが大切なのです。 鏡に映った物を利用するといくらか遠くなります。
眼を上下左右に動かしたり、ぐるぐる回したりするトレーニングとどこが違うのか?そのような動きは、眼の外に付いている筋肉の働きによるもので、「外側の筋肉トレーニング」と言えます。 眼球は動きますが、もちろん水晶体は動きません。
これに対して、調節トレーニングは眼の中の筋肉である毛様筋を動かすのが目的で、その結果として水晶体も動かすことができます。 今のところ、「外側の筋肉トレーニング」についてのデータなどはまったくなく、効果の有無もわかりません。
そのうえ心配な点が一つあります。 それは網膜剥離という病気を引き起こす可能性があるということです。
詳しい説明は省略しますが、眼を激しく動かすと、眼の中の卵の白身のような性質を持った硝子体が大きく動揺します。 ほとんどの人はそれでも何ともないのですが、中にはそれによって網膜剥離の原因となる裂け目ができる人がいます。
40代は網膜剥離の好発年齢でもあるため、私は、「外側の筋肉トレーニング」は勧めません。 また、その点を考慮して調節トレーニングでは眼の動きが必要最小限になるように、「眼と眼の間」と「ボールペンの先」と、「遠くの目標」とが一直線に並ぶようにしています。
すぐに老眼鏡を作るのとどこが違うのか?「トレーニングで新聞が読めるようになっても、老眼鏡で読めるようになっても、読めることには変わりないじゃないか?」という疑問は当然出てくると思います。 もし、「毛様筋と水晶体が動く」ということが、単にピント合わせの意味だけしか持っていなければ、その質問に対する答えは、「老眼鏡をかけるわずらわしさがなくていいでしょう」ということになります。
しかし私には、それらの動きにはピント合わせだけでなく、もう一つのとても大切な役割があるように思えてなりません。 そして、毛様体と水晶体の動きを維持することによって老眼だけでなく、慢性緑内障(原発開放隅角緑内障)や、老人性白内障の発症を遅らせることができるのではないか、というのが私の仮説です。

それを次に書きます。 さて、この本もいよいよ終わりに近づきました。
病気やトレーニングに関する実際的なことはここまでに書き終えました。 ここからは、「調節トレーニングで老眼を予防できれば、緑内障や白内障の発症を遅らせることができる」、という私の仮説について書きます。

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